ホームステイしているアパートに帰る途中、「Библиотека」と書かれた入り口がある。ビブリオテカ、と読む。

アパートの並びの、古めかしく大きな建物の1階に入っている。
並びには、銀行やおもちゃさん、「ドリンクセットがお得」とウィンドウに書かれたおしゃれなカフェなどが入っている。
これって図書館ではないかと心の片隅で思いながら、敷居が高くて入りずらかった。図書館というより、分室といった方がよいか。
Moscowでは、建物に入る時、またその建物がある区画に入る時に、強面な警備員がいたり、特定の鍵や付随するカード替わりの金属片のようなものがないと入れないようになっている。警備員は、こちらの発音が悪いと聞き取ってもらえず、容赦なく追い返されれることもある。さすがに、カフェやレストラン、お店は自由(といっても入り口や出口にそれとなく制限するバーがあったりする所もある。万引き防止か)だけれど、アパートもおそらくソ連時代からあるためか、そのような造りで、22時か23時になると大門が閉まり、アパートの各棟に至っては、オートロック式と同じように各棟のキーがないと入れない。大門が閉まることを聞いていなかったので、遅練して閉まってた今日はドン引きしたものの、車が入るついでにすっと入れてもらった。
慣れると気にならなくなるけれど、それだけ厳重なので、図書館なんてもっと厳しく、異国民は入れてもらえないのではないかと思っていた。
駄目っていわれたら帰ろう、と勇気をだして入ってみると…そんなことはなく…実に歴史のある図書館のようだった。入ると正面に、クロークがあった。誰かのコートがかけてあったけど、今は使われていないらしい。

入り口横のスペース

入って2部屋めに司書と思しき女性がいた。「何探してるの」というようなことを言われたので、「見てるだけです」と答えると、「пожалуйста(どうぞ)」との返事。
紙の匂いはどの国も変わらず、懐かしい気持ちになる。静かでとても落ち着いた、居心地の良い場所だった。


司書の女性がいた部屋の反対の一番奥の部屋に、おじいさんが一人、新聞を読んでいた。
ところどころに居心地よさを加速させる大きな観葉植物が置かれている。家もそうだけど、本当に緑が沢山あって癒される。長く厳しい冬を快適に過ごす工夫が随所にこらされている。椅子も座り心地がよい。植物は自分の家にも置きたいなと、真剣に思った。
図書館の開館時間は12~22時。
なぜこんな遅くまでやっているのか謎だけど、女性が2名でまったり司書仕事や掃除をしていた。日本のアニメとおぼしきイラストや、ハリー・ポッターなど児童文学っぽい棚もありつつ、まったくわからないので部屋の散策に集中することにした。

唯一わかったのは辞書だった。英語の辞書を手にとってみる。1969年製の小さな辞書で、結構古い。印刷された字も少しズレがあるので、ひと昔前の印刷方法と思われる。
その本は古いせいか、日本と同じで図書カードポケットが裏表紙にあったけれど、まったく読めない筆記体だった。広げてみると、見慣れた単語が英語一言で書いてある。情報量がシンプルでわかりやすく、眺めていてとても愉快な気持ちになった。本屋さんで、辞書を探してみようかな。
夜遅くまでやっているので、宿題をやりに立ち寄ってもいいかもしれない。ポリーナもここで受験勉強したのかな、とか思いながら、きっとまた来たいと思った。家で寝てないで、ここに来ればよかったなあ…。
●今日のロシア語
Библиотека(ビブリオテカ) 図書館
(2017.11.9)